【理科専用】ケアレスミスを減らす対策4選
お読みいただいてありがとうございます、東大大学院1年の吉田です。
以前こちらの記事で、ケアレスミスの原因と対策を紹介しました。
【点数UP】ケアレスミスの原因と、ミスを減らす対策6選
(お悩み受験生)理科でケアレスミスが多いんです… (お悩み受験生)物理の文字計算も、化学の計算もよく間違えてしまいます (Studium)理科には、専用のミス対策がありますよ! (Studium)ミスを減らし […
こちらは数学についてのものでしたが、今回は理科(物理・化学)に特化したミス対策を紹介します。
理科に特化したミス対策とはどんなものでしょうか。
それは、理科ならではの、文字計算(主に物理)と細かい数値計算(主に化学)をミスなくこなすための戦略です。
基本的なことは上の記事に書いてありますので、よかったらそちらも合わせてご覧くださいね。
文字計算(主に物理)のケアレスミス対策
特に物理では、文字の計算を頻繁に行います。
\(K=\frac{1}{2}mv^2\)、\(U=mgh\)などですね。
ここでは、文字計算の際の見直し術を、2つご紹介しましょう。
極端な例を考える
これは、答えの式に出てくる\(m,M\)(質量)や\(\theta\)(角度)などに「極端な値」を代入してみる方法です。
そうすることで、その答えが妥当かどうか確認できます。
例を見てみましょう。
角度\(\theta\)の斜面を物体が滑り降りるとします。そのときの加速度\(a\)はいくらでしょうか?
答えは、\(a=g\sin\theta\)(\(g\)は重力加速度)です。
ではこの答えの中の\(\theta\)に 0°を代入してみましょう。
\(\theta=\)0°とは水平な面のことなので、加速度は\(0\)のはずです。
そして代入してみると、実際に\(a=0\)になりますよね。
今度は\(\theta=\)90°とするとどうなるでしょうか。
これは垂直な壁を表しますから、加速度は\(g\)のはず。
代入してみると、たしかに\(a=g\)となります。
ここで代入した結果が\(0\)でなかったり\(g\)でなかったりしたら、どこかが間違っていると気付けるというわけです。
これが、極端な例で解が妥当かを確認する見直し法です。
解の次元を考える
「次元を考える」とは、簡単に言うと、単位を考えるということです。
ここでも例を見てみましょう。
高さ\(h\)からものを落とした時、地面での速さ\(v\)は、\(v=\sqrt{2gh}\)と書けます。
この\(\sqrt{2gh}\)という式が妥当であるかを、単位を見て判断しようというわけです。
重力加速度\(g\)の単位は\(\mathrm{m/s^2}\)、高さ\(h\)の単位は\(\mathrm{m}\)ですね。
数字には単位がありませんから、今の場合、ルートの中の「\(2\)」については、単位を考えなくていいです。
さて、これらの単位を\(\sqrt{2gh}\)に代入してみると、
となり、\(\sqrt{2gh}\)が速さの単位\(\mathrm{m/s}\)を持つことが分かりました。
ここで、単位の「\(/\)」は、割り算を表すことに注意してくださいね。
このように、解の中の一つ一つの文字の単位から式全体の単位を導くことを、「次元を考える」と呼びます。
理解を深めるために、もう一つ例を見てみましょう。
質量\(m\)の物体が、なめらかな水平面上で、ばね定数\(k\)のばねにつながれて振動する。
その振動周期\(T\)は、\(T=2\pi\sqrt{\frac{m}{k}}\)で与えられます。
質量\(m\)の単位は\(\mathrm{kg}\)、ばね定数\(k\)の単位は\(\mathrm{N/m}\)なので、
となり、\(2\pi\sqrt{\frac{m}{k}}\)がきちんと時間の単位\(\mathrm{s}\)を持つことが分かりました。
なお\(\mathrm{N}=\mathrm{kg}\cdot\mathrm{m/s^2}\)は、\(F=ma\)の両辺の単位を考えると分かります(左辺と右辺の単位は同じであるはずだから)。
少し話が複雑になりました。まとめると、以下のことをすればいいという話です。
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式の中の文字を、その文字の単位で置き換える
-
置き換えた式を計算する
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最終結果が、欲しい単位になっているかを確認する
これで、文字の約分のミスなどは大幅に防ぐことができます。
たとえば、上の2番目の例で\(T=2\pi\sqrt{\frac{k}{m}}\)と、分母・分子を逆にしてしまった場合、右辺の単位は\(\mathrm{/s}\)となって、時間の単位にならないのです。
そうすると、どこかで計算を間違えていると気づけます。
このチェックをぜひしてみてください。
数値計算(主に化学)のケアレスミス対策
化学では細かい数値計算が必要です。
それをいかにミスなくこなすかを考えていきましょう。
大雑把な値を計算する
これは桁のミスを防ぐのに有効です。
たとえば、35.7×209.6 を計算するとしましょう。
このとき、初めに 35×100×2=3500×2=7000 と大雑把に計算しておくのです。
そうすると、桁を間違って 748.272 と答えたりしてしまうのを防げます。正しい答えは 7,482.72 です。
それに、桁だけでもパッと計算できるというのは、大学に入ってからもとても役立つ能力です。
日頃から練習して、ぜひ身につけておきたいものと言えると思います。
計算は疲れるものだと知っておく
「桁じゃなくて、細かい数字でミスをしてしまう」という方も、多くいらっしゃると思います。
そういった方向けの対策が、「計算とは疲れるものなんだ、とあらかじめ想定しておくこと」です。
1回のテストで、いったい何回筆算を繰り返すでしょうか。
2~3回ならまだいいですが、それが5回、6回となると、だんだん筆算をするのに疲れたり、ストレスを感じたりするようになってくるものです。
そうすると、集中力や注意力が下がり、ミスにつながってしまいます。
ではミスをしないためには、どうしたらいいのか。
「筆算を減らす」というのは、可能な対策ではないでしょう。
となると、できることは、「自分は今疲れてきていて、ミスをしやすい状況だ」と意識しておくことです。
「この道のどこかに落とし穴があります」とあらかじめ言われたら、注意して歩いて、落とし穴にはまらなくて済むでしょう。
一方で何も考えずに歩けば、落ちてしまいます。
それと同じで、「今はミスが多い状況かもしれないな」と考えておくだけで、ちょっと丁寧に計算してみたり、いったん深呼吸して集中を取り戻したり、といった工夫ができるようになるでしょう。
まとめ
さて、以上の対策をまとめておきます。
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文字計算
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極端な例を考える
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解の次元を考える
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数値計算
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大雑把な値を計算する
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計算は疲れるものだと知っておく
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文字でも数値でも、理科の計算は煩雑で、ミスをしやすいものです。
しかし上記の通り、そんな計算だからこそできる検算法があります。
自分の実力を100%点数に反映させるために、今回紹介した方法をぜひ実践してみてください!
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
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