【大変?】勉強法次第で、有機化学は得点源になる

高校理科(物理・化学)

化学の3分類「理論化学・無機化学・有機化学」の中で、有機化学は特に暗記と思考の両面が求められます。

様々な官能基の名前や反応を知っている必要があるし、それをもとにしたパズル的な頭の使い方もできなければなりません。

それだけに、苦手意識のある人も多いはずです。

ですが実は有機化学は、典型的な思考というのが多い上に計算問題も他分野と比べて少なめですので、一度モノにしてしまえば必ず得点源になる分野です。

今回は、有機化学を勉強する上で意識してほしいことについて解説します。

有機化学の勉強の進め方

有機化学の勉強は、次の2つを車輪として進みます。

  1. 知識の理解、暗記
  2. 問題演習

どの科目においてもこの2つは必要ですが、ここで伝えたいのは、有機化学では特にこの2つのバランスが大切だということです。

いわゆる優等生は「まずは知識を完璧にしてから問題演習に移ろう」と考えます。逆に、無機的(化学の用語ではなく、日常で使う意味での「無機的」)な知識の暗記は嫌いだからと問題演習に偏る人もいます。

有機化学の勉強においては、このどちらも危険です。

理想は、ある程度暗記ができた状態で問題演習をし、演習を通して見つけた弱点、あるいは知らなかった知識をしっかり確認し、その後また演習に戻り、…というように「らせん状」に勉強を進めることです。

例えば、「アルデヒドが酸化されるとカルボン酸になる」という知識はあったとしても、問題文で与えられた分子量の変化からこの反応が起こったことを見抜くのは難しかったりします。

そういったところを問題演習で補完し、今持っている知識を「使える知識」にすることが大切です。

そしてそれだけでなく、その「使える知識」を活用して思考する訓練も積まなければなりません。

そういう意味で、有機化学の勉強では暗記と演習、言わばインプットとアウトプットのバランスが非常に重要になってくるわけです。

暗記の際のコツ

あの膨大な数の反応を丸暗記するのは、非常に大変です。

人間の脳は年齢を重ねるにつれて丸暗記が苦手になってきます。その代わり、意味付けがされた情報は覚えやすくなります。

例えば、overestimateという英単語を「過大評価する」と丸暗記するのは苦手になりますが、over | estimateと切って「超える」+「見積もる」=「過大評価する」という意味付けがなされれば、この知識は記憶にとどまりやすくなるのです。

この脳の特性を踏まえると、有機化学の反応を丸暗記するのは得策とは言えません。

ではどういう勉強が必要かと言うと、それは、電子に着目して有機化学を理解することです。

有機反応において、電子は非常に重要な役割を担っています。

例えばニトロベンゼンのニトロ化はメタ位で起こるのに対し、トルエンやフェノールのニトロ化はオルト位・パラ位で起こります。

この違いがどこから生じるのかというのも、電子の動きを知れば納得することができます。

電子を理解できれば有機化学は理解できると言っても過言ではありません。

例えばこのような本が多数出版されています。

しかし、この電子の議論は少し複雑なので、教科書ではほとんど触れられていません(コラムに載っている程度です)。

これが受験生を悩ませる原因だと思います。

あなたがもし、理解を伴って有機化学を暗記したいと思うのであれば、

 

新理系の化学(下)〈四訂版〉』(石川正明 著、駿台文庫)

 

という一冊がオススメです。

全体として難しめの本なので、1ページ目から全てを読む必要はありません。

116ページからの有機化学の章を読むだけでも、1,760円を払う価値は十分にあります。

反応をイメージしやすい3次元のイラストとともに、電子の動きをもとにとことんまで有機化学の「理解」を目指す良書です。

また、巻末には反応経路図の穴埋めと解答が載っており、受験直前に私はこれを何度も繰り返し確認しました。

「丸暗記はきつい」「有機化学を何とかしたい」と思っている人にとっては、持っておいて絶対に損は無い一冊です。

演習の際のコツ

問題演習を通じて分からない部分が浮き彫りになったら、教科書や参考書に戻ってそれを確認するのが不可欠です。

何とも当たり前のことなのですが、面倒くさがってこれをしない人が非常に多いです。

逆に言えば、地道に1つ1つ穴を埋めていった人だけが、有機化学を得意にすることができるということです。

特に構造決定の問題は、演習から得るものがとても多いです。

分からなかった問題については何が原因で分からなかったのかを確認する、必要に応じて知識を暗記する。

解けた問題についても、思考回路が正しかったか必ず解答を読んでチェックすることで理解が深まります。

上で述べたように、有機化学の勉強の半分は演習とその復習にあると言えます。

まとめ

以上、有機化学の勉強法について解説してきました。

まとめると、暗記と演習のバランスを意識して「らせん的」に勉強を進めるのが成績アップの近道で、暗記の際には電子に着目した理解を伴うのが秘訣です。

冒頭にも述べましたが、有機化学はやり方次第で得点源になり得ます。

加えて、理系の学生ならほぼ確実に、大学入学後も付き合っていくことになります。

今のうちに効率的な方法で努力して、有機化学を得意分野に仕上げましょう!

 

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

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