【難所】ニガテを得意に!確率を勉強する際の一番のコツ

確率は数学の中でも特に難しい分野です。
難しいと言うより、「勉強しづらい」と言った方が良いでしょうか。
できる人はスラスラ解ける、しかし分からない人にとってはいつまで経ってもどこかで間違えてしまう、そしてどうやって勉強したら自力で解けるようになるのか見当もつかない、という特性をもつ分野だと思います。
そこで今回は、確率の勉強をする際に意識しておきたい考え方の「コツ」をお伝えしていきます。
これを知るのと知らないのとでは、勉強の質がきっと大きく変わります。
確率はなぜ難しい?
苦手な人にとって確率がなぜ難しく感じてしまうのか。
それは、自分で考えるパートが多いからです。
例えば微分の問題なら、「接線と言われたら微分をする」「グラフを描けと言われたら増減表を作る」など、決まったある程度決まって手順に沿って計算を進めることができます。
しかし確率では、\({}_n \mathrm{C} _m\)や\({}_n \mathrm{P} _m\)、階乗といった計算方法はあるにせよ、
問題を的確に把握(→計算しやすい形に持ち込む)→適切な式で計算する
という、言わば想像力やパズル的な思考が求められる部分が大きいです。
この「自分の頭で考える」ことを攻略しなければ、確率の攻略は無いと言って良いでしょう。
そしてその攻略のために、勉強するときに頭に留めておいてほしいポイントがあります。
確率の勉強のコツ
確率の勉強のコツ、それは、「違い」を意識することです。
ここで言う「違い」には、2種類のものがあります。
1つ目は、問題や状況の違い。
「この問題ではこう考えるけれど、こっちの問題ではその考え方は使えない」という事態に遭遇した時、確率の苦手な人というのは、大抵その違いが分かりません。
そしてその違いがどこから生じるのかを考えもしないので、なかなか自分で解けるようになれないわけです。
その違いを考えてみる、そして理解するということが必要になってきます。
2つ目の「違い」は、自分の考え方と模範解答との違い。
間違えた問題に対して、「自分の考え方の何がまずいのか」を徹底的に考えていく姿勢が重要です。
多くの場合、間違えた原因は確率の根本的な誤解にあります。
ですから1つの問題で自分の考えの誤りに気付ければ、その学びを他の問題にも応用できるということがしばしば生じます。
ここから、この2つの「違い」について、例を挙げながらもっと詳しく見ていきましょう。
「違い」って?
問題・状況の違い
この2つの問題を考えてみてください。
定番の問題ですね。
解答例は以下の通りです。
7人から甲の部屋に入れる2人を選ぶ選び方は\({}_7 \mathrm{C} _2 =21\)通り。
残った5人から乙の部屋に入れる2人を選ぶ選び方は\({}_5 \mathrm{C} _2 =10\)通り。
残った3人が丙の部屋に入ることになる。
従って求める分け方は\(21 \times 10=210\)通り。
まず、7人を2人部屋の甲・乙、3人部屋の丙に入れると考える。
この分け方は、(全問と同じなので省略)210通りである。
しかし実際には甲・乙の区別は無いので、求める分け方は\(\frac{210}{2!}=105\)通り。
ご覧の通り、答えは異なります。考える過程にも微妙な違いがあります。
今回の場合、「区別が無いから最後に2!で割る」というのがⅠ)とⅡ)を分けるポイントです。
そして、この「2!で割るか割らないか」という違いがどこから生じているのかをしっかり納得していくことが、確率の勉強では必要になります。
これが「問題・状況の違いを意識する」ということです。
今回の問題では、この違いは「グループ(部屋)の区別があるか無いか」から生じています。
つまり、Ⅰ)の問題では
\[\fbox{甲}\fbox{A,B}~~\fbox{乙}\fbox{C,D}~~\fbox{丙}\fbox{E,F,G}\]
\[\fbox{甲}\fbox{C,D}~~\fbox{乙}\fbox{A,B}~~\fbox{丙}\fbox{E,F,G}\]
という分け方を2通りと数えます。
「甲の部屋にA,Bがいて乙の部屋にC,Dがいる状況」と、「甲の部屋にC,Dがいて乙の部屋にA,Bがいる状況」は異なりますからね。
一方Ⅱ)の問題では甲乙丙の区別が無いため、先程と同じ分け方
\[\fbox{A,B}~~\fbox{C,D}~~\fbox{E,F,G}\]
\[\fbox{C,D}~~\fbox{A,B}~~\fbox{E,F,G}\]
は1通りと数えるわけです。
これが、最後に2!で割るか割らないかの違いを生み出しているのです。
恐らく、グループ(部屋)の区別があるか無いかが重要であるというのは字面では知っている人も多いのではないでしょうか。
しかしこれをしっかり腹落ちさせる、この勉強が非常に重要になります。
自分の考え方と模範解答との違い
再び例題を考えてみることにしましょう。
\[\fbox{1}\fbox{1}\fbox{2}\fbox{2}\fbox{3}\fbox{3}\fbox{4}\fbox{4}\]
この中から同時に2枚を取り出すとき、異なる数字のカードが取り出される確率を求めよ。
代表的な誤答は以下の通りです。
4つの数字から異なる2つを選ぶ場合の数は、\({}_4 \mathrm{C} _2\)通り。
従って求める確率は\(\frac{{}_4 \mathrm{C} _2}{{}_8 \mathrm{C} _2}=\frac{3}{14}\)である。
どこが間違っているか、分かりますか?
正答はこのようになります。
4つの数字から異なる2つを選ぶ場合の数は、\({}_4 \mathrm{C} _2\)通り。
それぞれの数字の組み合わせに対して、カードの選び方は\(2 \times 2=4\)通りある。
従って求める確率は\(\frac{{}_4 \mathrm{C} _2 \times 4}{{}_8 \mathrm{C} _2}=\frac{6}{7}\)である。
この違いはどこから生じるのでしょうか。
それを考えて理解するのが大切です。
正解をお話ししますと、誤答では最後に確率を計算する際、\[\frac{\mbox{(数字の選び方)}}{\mbox{(カードの選び方)}}\]となってしまっています。
正しくは\(\displaystyle \frac{\mbox{(カードの選び方)}}{\mbox{(カードの選び方)}}\)としなければなりません。
確率の分母・分子の「数え方」が異なっていてはいけないのですね。この誤解が間違いの原因です。
しかし私がここで伝えたいことは、確率のこの考え方ではありません。
間違えた時、自分の考えと正答の何が違うのかというのを、このくらい根本に立ち返って考えなければならないということです。
そして前にも述べましたが、この根本的な理解が他の問題を解く際にも応用できるのは言うまでもありません。
自分の考え方と模範解答との違いを意識するとは、そういう意味です。
まとめ
以上、確率の勉強法「違いを意識する」について詳しく解説してきました。
確率を得意にしたいと思ったら、問題集の確率の章、あるいは確率専門の参考書を使って、短期間で色々なパターンの問題をたくさん解くことが近道です。
その中で「この問題とあの問題は何が違うんだろう」「自分の考え方はどこが間違っているんだろう」と考えることを積み重ねれば、確率の思考が脳に染みついて、自力で問題が解けるようになってきます。
ぜひ今日から、2種類の「違い」に着目して確率の勉強を捗らせてください!
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
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