【本質】数学公式の効率的な覚え方
お読みいただいてありがとうございます、東大大学院1年の吉田です。
センター試験(現・共通テスト)の数学では、1A・2Bともに満点を取りました。
今回は、数学公式の覚え方についてお話ししていきます。
高校に入ってから、公式が多くて苦戦している方も多いのではないでしょうか。
そんな方に向けて、忘れにくくて効率的な覚え方をご紹介します!
また、公式を覚える「レベル」という概念についても解説していきますので、最後まで楽しみにしていてくださいね。
数学の公式は「使って」覚える
数学の公式、みなさんはどうやって覚えようとしているでしょうか。
結論から書くと、公式を「見て覚える」というやり方はNGです。
ではどうするかというと、練習問題をとにかくたくさん解くのがオススメです。
たとえば、図形の分野に余弦定理というものがあります。
ご存じない方もいらっしゃると思うので式を書いておくと、\[c^2=a^2+b^2-2ab\cos\theta\]という公式です。
この式、かなり複雑ですよね。
丸暗記だとほぼ確実に、最後の項がプラスかマイナスか分からなくなります。
それに、係数\(2\)がつくのも、ちょっと落とし穴ですよね。
ではどうやったらこれを正しく覚えられるのか。
そこで必要になるのが、公式を使う練習なのです。
問題で「\(a=3,~b=5,~\theta=60^\circ\)」と与えられて
\begin{align*}
c^2 &= 3^2 + 5^2 – 2\cdot3\cdot5\cdot\cos60^\circ \\
c &= \sqrt{19}~(c>0)
\end{align*}
と計算する、といったことを繰り返す内に、自然と公式が頭に入ってきます。
これは僕の仮説ですが、覚えやすいのは、実際に自分の手と頭を動かすからだと思っています。
公式を使う場合、手を動かして「\(-\)」や「\(2\)」を書きますよね。
そして引き算や\(2\)の掛け算を、自分の頭ですることになります。
問題ごとにこういったことを繰り返すことで、公式が頭に入りやすくなるのだと思います。
ぜひちょっと、だまされたと思ってやってみてください。
きっと驚くほど「覚えやすくて忘れない」はずです。
公式の定着には「レベル」がある
ここから、少しだけ深掘りをしてお話ししようと思います。
テーマは、「数学の得点力と公式の定着度合い」です。
実は、公式を「覚えている」というのには、以下の2つのレベルがあります。
-
レベル1:公式を書けと言われて書ける
-
レベル2:公式が脳に染みついている
うすうす気づいている方も多いと思いますが、入試レベルに対応するには、レベル2に達している必要があります。
この2つのレベルについて、ここから詳しく説明していきます。
レベル1:公式を書けと言われて書ける
このレベルは、言ってみれば頭の「表面」に知識が張り付いている感じ。
脳内にはあるけれど、それを使いこなすまでには至っていない、といったところです。
少し分かりにくいと思うので、例を挙げますね。
\((x+y)^2=x^2+2xy+y^2\)という展開の公式は、多くの方がご存じだと思います。
レベル1は、「\((x+y)^2=\)」と書かれて、右辺を書ける状態です。
右辺が書けるのですから、たしかに、公式を覚えてはいます。
ですが、逆に\(x^2+2xy+y^2\)を見た時に、これが\((x+y)^2\)だというところまでは見抜けないんです。
つまり「展開はできるけれど因数分解はできない」状態。
因数分解の練習の時に、「なんでこんな変形が思いつくんだよ!」と思ったことのある人も多いのではないでしょうか。
これは、自分がまだレベル1だから、つまり公式が自分のものになっていないからです。
ただ「覚えている」というより、「使いこなせる」状態、これが次のレベル2です。
レベル2:公式が脳に染みついている
先ほどもお話しした通り、このレベルは、公式にかなり慣れている状態です。
ここまで達すると、解ける問題の幅がぐっと広がります。
どういうことか、具体例を見ながら一緒に考えてみましょう。
少し発展的な内容になりますが、次のような問題を考えてみます。
- 実数\(x,y\)が\(x^2+y^2=1\)を満たす時、\(x+y\)の最大値を求めよ。
何通りか解き方はあると思いますが、おそらく一番簡単なのは、\(x=\sin\theta,~y=\cos\theta\)と置くやり方です。
※三角関数を習っていない方は、ここは「ふ~ん」程度で構いません。
なぜこう置けるかというと、「\(x^2+y^2=1\)」が成り立つからです。
三角関数の公式が頭に染みついていると、これを見た時に、「あ、\(\sin^2\theta+\cos^2\theta=1\)の関係が使えるかも!」とひらめくわけです。
一方でこの公式が「染みついて」いないと、この解法は思いつきません。
いかがでしょうか。
「公式の定着度合いで、解法の幅が全然違ってくる」という話、少しはピンときていただけましたか。
以上、2つのレベルについてお伝えしました。
ちょっと難しかったかもしれませんが、とにかく、「公式は『覚えている』だけでは不十分、『使いこなせる』必要がある」ということです。
まとめ
以上、「練習問題をこなす」という公式の覚え方、そして公式の定着レベルについてお話ししてきました。
「練習問題を多くこなして公式を覚える・定着させる」、これは、簡単なようで実は難しいんです。
なぜなら、これをするためには「授業のたびにその日のうちに復習する」というのが欠かせないから。
あとでまとめてやろうと思っていると、だんだん授業にもついていけなくなるし、結局ひとつひとつの公式が手薄になりがちです。
ですから、日々の復習習慣がとても大事になってきます。
そういう意味ではちょっと大変な部分もあるかもしれません。しかし効果は絶大です。
第一、入試で「公式を書け」なんて問題は出ませんからね。
やはり練習は不可欠です。
この記事を読んだのを機に、「頑張ろう!」と思っていただけたら嬉しいです。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
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